お灸の話
お灸の原料は
お灸の原料はもぐさです。
「もぐさ」は蓬(よもぎ)の葉の裏側に生えている白い綿毛の部分を集めて作られます。
品質によって効果に差があるので高品質なものを使っています。
お灸の発祥は?
鍼(はり)も灸も、もともとは中国大陸が発祥です。
鍼は中国大陸南部の海ぞいで暮らす人々の知恵で、海で獲った魚の細い骨を使って皮膚(身体の浅い部分)に作用させることに端を発しています。
お灸は逆に中国大陸の北部、山の寒い地方で暮らす人々の知恵から生まれています。
身体を温めるのに、蓬の白い綿毛を集め乾燥させて保管しました。寒いときにそれを少しだけ丸めて皮膚の上に置き、火をつけることで効果を得ました。
鍼が身体の浅い部分に作用するのとは逆に、灸は身体の深い部分、血(けつ)に作用します。
ずいぶん大昔の有史以前の話です。
カ、アブやブヨ(ブユ)に刺されたらお灸が効きます!
畑仕事やキャンプなどでカ、アブやブヨに刺されたことはありませんか?
ブヨは刺された当初はそれほどかゆみや痛みを感じませんが2~3日掛けて悪化し、掻き壊すと2週間近く腫れと痒みに悩まされます。
刺された直後のお灸はたいへんよく効きます。
虫の持つ毒素は43度以上で分解するのでぎりぎり熱いお湯を患部に掛けることでも被害を抑えられます。
虫刺されの場合、お灸は我慢ぎりぎりまで熱くします。外からの毒が盛ん(実)のため、それを瀉(しゃ)するためです。
虫刺されの危険がある場所に行くときは、お灸を携帯してみては。
くれぐれも火傷に気をつけてください。
病気の治療のお灸は熱いことがありません
虫刺されにはぎりぎりまで熱くするお灸が効果的ですが、病気の治療ではお灸は熱くありません。
なぜでしょうか。
鍼灸では、身体を表す性質を「虚実」で表し、虚(きょ)と実(じつ)のバランスが取れている状態が健康で、乱れたバランスを戻すことがすなわち治療です。
虚とは「足りない」状態を言い、実とは「余分な」状態を言います。
今の世の中は、バランスを崩している人のほとんどが虚の状態です。
実に傾いている方はほとんどおられません。
汗をかいて一日中活発に動いている恰幅の良い営業マンも身体の状態は虚に傾いている場合が非常に多いのです。
さて、この虚の状態の身体のバランスを正常に整えるにはどうしたらよいでしょうか。
虚「足りない」のですから、それを補う治療をすることです。それを補と言います。
お灸で補を行う場合、決して熱くはしません。やさしく、ほわーんと身体の深部まで到達するように施術します。
ですので、お灸は熱くありませんか? というご心配には及ばないのです。
一方、虫刺されのような急激な外邪の侵入で局部が実の状態の時はぎりぎりまで熱くして瀉する必要があるのです。